学振PDについて

ポスドク

博士課程修了後の国内進路はいろいろあるけれど,著者が考える主な進路は,以下の8つであると思う。

1.学振PD
2.科研費などの大型プロジェクトの研究員
3.大学・短大・高専の教員
4.独立行政法人(理研や産総研など)の研究員
5.一般企業の研究員
6.専門学校の教員
7.その他,一般の就職
8.アルバイト・無職

このうち,「研究者」と呼ばれるのは,1~5であり,おそらく博士課程に進学した多くの者がこの進路を希望しているだろう。ここでは,特に1~3の進路を実現するために,どのようにすればよいのか,著者の考えを記したい。なお,著者のいい加減な人間性(良い意味で!)から,いい加減な文章になるとは思うが,これから博士課程に進学しようと考えている人,博士課程に在籍している人にとって,少しでも参考になれば幸いである。

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学振PDについて

日本学術振興会(以下,学振)は,その名の通り,「日本」の「学術」を「振興」するための独立行政法人であり,著者もお世話になっている。学振は,日本の優秀な研究者を養成するために,特別研究員制度を設けて支援したり,研究者の研究を支援するために科学研究費補助金(以下,科研費)の制度を設けたりしている。

特別研究員制度には,博士課程に進学する際に応募ができるDC1,博士課程在籍中に応募できるDC2,博士課程修了後(見込み)に申請できるPDがあり,いずれも生活に困らないくらいの支援(お給料)や科研費の申請資格が与えられる。まあ,制度の詳細については,皆さん大学院生なんだから,自分で調べてくれ。

で,DC1・2については,平成28年度は申請者の20%程度が,PDは12.5%が採用されている。PDに採用された者は,出身校以外の研究機関に所属して,学振からお給料をもらいながら,採用期間の3年間,自分の研究を進めることができる。

学振PDに採用されるには

まず,査読付きの論文を書きまくることである。これは,どの進路に行くにも重要なことだが,査読付きの論文がなければ,箸にも棒にもかからない。とにかくなんでもいいから,論文数を増やすことが,最も重要な要因だ。

そして,近接領域のお偉い先生と親しくなる。これも,どの進路に進むにしても重要なこと。特にPDは,申請書に研究計画を書く必要がある。先に述べたとおり,自分の出身校以外の研究機関に所属してPDは活動するので,申請書類に受け入れ研究先について書かなければならない。申請書類には,その受け入れ研究先で研究することで,「現在までの研究をいかに発展させることができるか」示す必要がある。これを書くためには,まず自分を受け入れてくれる先生を探す必要がある。

あとは,作文能力。現在まで発表した論文の研究成果を根拠として,「自分は,現在まで,こんな研究をしてきました!」,「今後,こんな研究をやっていきたい(具体的に書くこと)と考えています!」,「その研究は,こんな風に社会の役に立ちます!」,「その研究は,こうこうこういう理由(過去の自分の実績,受け入れ研究先の環境)で実現できます!」ということを示して,審査員が納得できれば,書類審査は通過できる。やったね!

と書きながら,著者はPDに惜しくも(なく),採用されていない。理由は簡単である。競争に勝てないからだ。

採用率が12.5%ということは,超ざっくりした計算をすれば,学会などで顔を合わせる,博士の学位を取った人たち・取得見込みの人たちをランダムに10人集めてきて,業績・研究能力・プレゼン能力を総合して,1位にならなければ採用されないわけだ。いや,正確にはPDに「申請した人」の12.5%,つまり,はなから諦めている人はその競争から除外されているので,現状はもっと厳しい。さらにいうと,この競争は「新卒」ではなく,博士の学位取得,または満期退学して「5年以内の者」が加わってくる。その者達の中で,上位12.5%が,見事「学振PD」に採用される。

ただし,学振PDに採用されたからといって,将来安泰!かというと,そうでもない。学振PDである間に,引き続き,周囲と良い人間関係を築きながら,当然,研究も進めて論文も増やしていき,3年以内に大学や研究機関などの「常勤職」をGETする必要がある。まあ,この辺のことは,あとで説明しよう。

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