大学教員の公募は不公平じゃね

ポスドク

過去に,大学教員への道アカポスに就くために院生時代にできることという内容の記事を書いた。

大学院終了間際,jrecをひたすら調べて,公募に出しまくる大学院生を「公募戦士」なんて言ったりするが,その公募も何だかなあ,と思わされることがたくさんある。

ここでは,その辺について書いてみようと思う。

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デキ公募かどうかくらい教えて欲しい

大学が教員を採用するとき,実はそのポストに誰を入れるか決まっていたとしても,大人の事情で公募しないといけないらしい。

そこで,仕方なくjrecに掲載したりするんだけど,応募者側から見たら,それがデキ公募なのかガチ公募なのか全く分からない。

人づてに,「採用する人が決まっている時は,募集期間を極端に短くする。」なんて話を聴いたりもする。
要するに,できるだけ応募者の目に留まらないように,公募をかけて,「公募しました。」という事実を作るわけだ。

この情報を知っていれば,「急募」と書かれていないのに,募集期間が極端に短い公募は,デキ公募の可能性が高いことがわかる。(まあ,求職中の院生や研究者は,毎日jrecはチェックするから,絶対その公募も見られてるんだけどね)

逆にそうじゃないデキ公募は,本当何とかしてほしい。すごくたちが悪い。

別に,デキ公募が悪いとは言わない。そりゃあ,良く知っている人の方が安心して仕事を任せられるだろうし,「この人と一緒に仕事をしたい」と思える人を選ぶべきだろう。
でも,それに振り回される求職中の人もいるわけで,その辺も配慮してほしい。
書類を作成するのもほんとに労力が削られるから,せめてWeb応募を可能にするとか,配慮してあげてもいいんじゃないだろうか。

書式が本当にめんどくさすぎる

公募戦士たちは,大量に応募していく。
それこそ,毎日のように公募書類を作成する日々を送る。
これには本当に時間がとられてしまう。

「履歴書」は,それぞれの大学でフォーマットが異なる。これくらいなら,院生までいっている人間なら,5分もあれば終わるだろう。
しかし,「研究業績」や「教育業績」は,本当にフォーマットを統一して欲しい。

なぜ,大学によって,エクセルフォーマットであったり,ワードフォーマットであったりするんだ。
なかには,「すみません,うちの大学,エクセルやワードの使い方,ちゃんとわかってませんw」っていうことを如実にさらけ出しているフォーマットもたくさん存在する。
公募戦士諸君,そのような大学に応募するのは自由だが,そういう大学は,事務方が使えない大学だ,っていうことは覚悟しておいた方がいいかもしれない。

研究業績なんて,学会発表とかも入れたら,多くの人が50はくだらない数になるだろう。それを一つ一つコピペして,作っていくという無駄な労力。
5つの大学に公募資料を作成しようと思ったら,おそらく1日かかってしまうだろう。
それで貴重な研究時間が割かれるなんて,本当にバカげている。

頼むから,OpenESみたいに,共通のフォーマットにしてもらえないだろうか。
JRECにだって,一応Web応募のシステムがあるんだから,それを使えや。
ってか,国公立大学だったら,そのフォーマットを共通化することぐらいできるだろう。
若手の研究時間を無駄にさせるな。

もうひとつ,推薦書は一次審査が通過した後でよくないか?
お偉い先生に,「すいません,推薦書を作成してください。」と何度頭を下げにいけばいいのだろう。(そして何度,残念ながら・・・と話さなければいけないのだろう)
推薦書を作成させるということは,応募者だけではなくて,ほかの研究者も巻き込むことになる。
そして,公募を落とすということは,それに関わった人すべてに悪い印象を与えてしまう可能性があるということを大学側は心得るべきだろう。

条件が明示されない

大学の教員は金持ちなのか?で書いた通り,大学院の博士課程まで行った人間は,多くの借金を背負っている。
もし,結婚したり子どもを抱えている人なら,下手をすれば民間から借金をしている可能性もあるわけだ。
となると,待遇面が気になるのは当然のことだ。

ところが,JRECの求人では,「〇〇大学の給与規定に準ずる」と書いてあり,
じゃあ,その給与規定はというと,ほぼ公開されていない。

通常の企業ならば,「〇〇万~〇〇万」という形で,おおよその賃金は書いてあるが,
大学の公募についてはそうではない。

もちろん,国公立の大学はしっかり明示されているが,私立大学の給料は,ほぼわからない状態で応募することになるだろう。私立大学では,これが「当たり前」となってしまっている。

著者なんかは,「月々〇〇万挙げるからさ,うちで頑張ってくれない?」って誘うのが普通だと思うんだけどね。

ちなみに,多くの私立の場合は,内定をもらってしばらくしないと,給与は公開されない。
最悪,契約書の締結の段階で教えてもらうことになる。
もちろん,その契約書にサインせずに,次の公募にだすことも可能だけど,内定を出したのに蹴られた,となれば,大学側の損害は大きい。
この世界は狭い世界なので,応募者側はなかなかそういうこともできないだろう。

私大教員の待遇の情報なんかをリークするサイトがあれば,結構儲かるかもね。

結果の通知が遅すぎる

まあ,これは別にいいんだけどね。
通常,公募に出す人は,自分に合う公募が出た段階で応募しまくってるわけだから,複数のところに応募しているのが普通。

ただ,断り方でも,かなり心象は違う。
たとえば,届いたのがただのお祈りの文章で,結果の通知が遅いと,その大学の心象はものすごく悪い。
「ああ,もうこの大学と関わるのはやめよう。」と思う。
大学側も考えて欲しい。応募しているのは研究者だ。断り方次第で,多くの研究者を敵に回してしまってる可能性もあるから,気を付けた方がいいよ。

もし,「なぜ不採用になったのか。」そのことが,少しでも書かれていると,とても誠意を感じられる。
例えば,「〇〇人の応募があり,・・・」なんてことが書かれていれば,「ああ,そうなのね。」と納得できる。
自分が作成した書類や業績をレターパックで返さなくてもいい(っていうか,送り返されてもゴミだから。)。ちょっとした一文があるだけで,十分だ。
こちとら,一つの大学に公募書類を作成するだけで,何時間もかけてるんだ。それくらいの誠意を見せてもいいんじゃないか?

圧迫面接がひどいところはひどい

無事書類審査が受かって,「面接」となると,大学によって全然違ってくる。
模擬授業をやれっていうところもあるし,ただの面談というところもある。

地方も受ける場合,旅費や宿泊費も自腹を切らなければならないので,そこそこ負担になる。

で,そうやって面接まで来てくれた応募者に対して,「圧迫面接」をしかけてくる,わけのわからない大学もある。

例えば,学長レベルの人が,「〇〇みたいな傾向をもつ学生が,うちには多くいるんだけど,そういう学生にはどのように対応したらいいか。」と,その人自身が個人的な答えを持っていて,その答えを答えてくれるように質問をしてくることがある。
まあ,そういう人は,他の教員から無視されていることも多いから,適当にあしらっとけば大丈夫。そのあしらい方が,常識の範囲内であれば,問題ない。

でも,けちょんけちょんにけなしてくる,バカな大学教員もいる。
「嘘だろ!?」って思うかもしれないけど,これは事実だ。
おそらく,採用された人に対しては,その後きちんとフォローするんだろう。
けど,多くの不採用者は,その大学の心象が最悪になる,なんてことは考えないんだろうね。
この世界は狭いのに。
多くの研究者は,そういう対応をされた大学の非常勤は絶対受けないし,共同研究も絶対しない。知り合いがその大学に関わろうとするなら,絶対止めるだろう。

そこまで行ってくる面接担当者じゃないとしても,ずーっとしかめっ面をして,不機嫌そうな態度を示してプレッシャーを与えてくる人もいる。
同じ研究者なら,そういう人に対しては,学会でぼろくそに言ってやればよい。
面接では,ある程度の余裕も大事だから,「あーあーやってるわこいつ。不採用だったら,学会であった時に,攻撃しまくってやろう。」くらいに思っていればOKだ。
(ま,そういう人ほど,学会には出てこないんだけどね。)

まとめ

とりあえず,大学教員の公募について思うところを好き勝手書いてみた。
できれば,公募をする側の人に読んでもらいたいんだけど。
本当,公募のフォーマットを統一してもらったり,給与面を明示してもらうのはやってもらいたいわ。

上記のことは,Jrec側にも掲載するときの条件としてもらいたいなあ。ほんと,若手の研究者たちの時間は,応募に取られすぎていると思う。

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