高齢化の原因

高齢化問題

高齢化社会の現状」では,日本が急激な高齢化を迎えており,現在,日本の高齢化率は世界一位であることを紹介した。それでは,なぜ日本ではこのような急激な高齢化が進んだのか紹介したいと思う。

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平均寿命の延伸

高齢化の原因と言えば,何といっても平均寿命が延びたことだろう。

これは(http://www8.cao.go.jp/kourei/kou-kei/24forum/pdf/tokyo-s3-2.pdf)は,内閣府が公表している平均寿命の推移である。これを見ると,1950年時点では,女性の平均寿命が61.3歳,男性の平均寿命が58.0歳であったのが,2010年時点では,女性が86.39歳,男性は79.64歳となっている。2017年3月1日に厚生労働省が発表した平均寿命は女性が86.99歳,男性も80歳を超え,80.75歳となっている。

織田信長は敦盛を舞ったという話が有名で,その一節に「人間五十年」とあるが,江戸時代の平均余命は50年よりも短いと言われている。しかし,第二次世界大戦以降,戦死が事実上なくなったこと,乳児の死亡率が1955年時点で3%以上あったのが0.2%程度まで低くなっていること,それも含めた医療の発展が平均寿命を延ばす要因となっている。

特に,高齢者が増えたことは医療技術の発展が大きな要因だろう。実際,1949年時点では,死因の第一位は結核であったが,これについては医療の発展に伴いほとんど治療することができるようになっている。また,1950年代以降脳血管疾患が死因第一位となっていた時代もあったが,現代の医療では早期に治療することで脳血管疾患があっても(障害が残ったとしても)命を永らえるケースが多いようだ。現代の死因の第一位は悪性新生物,つまりガンであり,その次に心疾患,脳血管疾患の順となっている。

2017年に厚生労働省の発表したデータによれば,100歳以上の高齢者は全国で6万7824人となっており,47年連続の増加であるという(https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14HA9_V10C17A9CR0000/)。このペースで行くのなら,女性の平均寿命が90歳を超えるのもそう遠くない未来かもしれない。実際,内閣府の推計によれば,2050年には女性の平均寿命が90歳を超えるとしている(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2013/zenbun/s1_1_1_02.html)。

出生率の低下

「高齢化」というのは,総人口に対する高齢者の割合なので,当然若い人の人口が増えれば高齢化率は下がるはずだ。しかし,若い人の人口は年々減少している。

「少子化」というキーワードを聴いたことがある人も多いだろう(っていうか,みんな知っているか)。単純に,すべての人がパートナーを組むことができ,2人以上の子どもが無事に育つことができれば,人口は維持されることになる。実際には,子どもを産まないという選択肢を選ぶ人もいるし,不幸にも若い時点で死んでしまう人もいる。合計特殊出生率という指標があるが,これは一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の平均を示す。実際には15歳の女性が何人子どもを産むかはわかるわけはないので,これは出生状況やその年齢の出生率から推計した値ではある。

人口を維持するためには,先に述べたような事情があるため,合計特殊出生率は2よりも少し多い2.08が必要とされる。日本ではこの2.08を1974年以降超えることはできていない。2005年は合計特殊出生率が過去最低の1.26となり,2017年では1.44となっている。

まとめ

日本の高齢化が進んでいる原因としては,①高齢者の寿命が延びる=高齢者が多くなる,②子どもの数が減る=若い人が減ってしまう,その結果総人口の高齢者が占める割合が増える,ということが大きな要因である。他の先進国では移民がある程度いるが,日本は移民が少ないということも他国とは少し違う状況である。

さて,こういうわけで高齢化は進展している(高齢化社会の現状)。では,社会問題として高齢化が取り上げられるのはなぜだろうか。実際,高齢者が増えることで何がそんなに困るのだろうか。それについては,「高齢化になって困る事」でまとめてみた。

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